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微分幾何学 4: ガウスの驚異の定理を高校生向けに読む

  1. 1 微分幾何学 1: 多様体は近くで見ると平らな場所
  2. 2 微分幾何学 2: 接ベクトルと曲面のものさし
  3. 3 微分幾何学 3: 曲率は曲がり方を数字にする
  4. 4 微分幾何学 4: ガウスの驚異の定理を高校生向けに読む

ガウスの驚異の定理は、微分幾何学の中でも特に美しい定理です。

正式には Theorema Egregium と呼ばれます。意味は「驚くべき定理」です。

定理の主張を高校生向けに言うと、こうです。

これはかなり不思議です。

曲率という言葉を聞くと、ふつうは外から見た曲がり方を思い浮かべます。ところがガウスは、ガウス曲率については「曲面の住人が、曲面の上だけで測ればわかる」と示しました。

紙を丸めても、本質的には曲がっていない

紙を机の上に置くと平らです。

その紙を丸めて円柱にしても、紙を伸ばしたり縮めたりしていなければ、紙の上の長さや角度は変わりません。

円柱は外から見ると曲がっています。

でも紙の上だけを歩く小さな住人にとって、円柱は平面と同じです。

円柱では、展開すると直線に見える曲線がある

紙を丸めた円柱では、表面を切って開くと斜めの直線になる道があります。外からはらせんに見えても、表面の住人にはまっすぐです。

円柱のガウス曲率は 0 です。平面と同じです。

これが、外から見た曲がり方と、曲面の内側で測れる曲率が違うことを教えてくれます。

球面は平面にぴったり展開できない

一方、球面は紙のように平面へぴったり展開できません。

地球儀の表面を、破らず、伸ばさず、縮めずに 1 枚の地図にすることはできません。

これは単なる地図作りの都合ではありません。球面のガウス曲率が正で、平面のガウス曲率が 0 だからです。

球面上のまっすぐな道は大円になる

地球儀の表面から離れずに進むと、平面の直線ではなく大円が自然な直線の役をします。測地線の直感です。

もし球面を平面へ完全に展開できるなら、長さと角度が保たれます。

長さと角度が保たれるなら、ガウスの驚異の定理によりガウス曲率も保たれるはずです。

でも球面の曲率は正で、平面は 0 です。だから完全な展開は不可能です。

曲面の住人は何を測ればよいか

曲面の住人は、外の空間を見る必要がありません。

曲面の上で、短い棒の長さを測ります。角度を測ります。小さな三角形を作ります。

球面では、三角形の角度の和が 180180^\circ より大きくなります。

平面では、角度の和は 180180^\circ です。

鞍面では、角度の和が 180180^\circ より小さくなります。

鞍面は、向きによって曲がり方の符号が変わる

鞍面では、ある方向には上に曲がり、別の方向には下に曲がります。曲率を 1 つの数字で見たくなる場面です。

この差が、曲面の内側から見える曲率です。

何が驚異なのか

ガウス曲率は、最初は外から見た曲がり方で定義されます。

曲面を 3 次元空間に置き、いろいろな方向に切って、主曲率 k1k_1k2k_2 を測り、

K=k1k2K = k_1 k_2

を作ります。

ところが結果として、この KK は第一基本形式、つまり曲面上のものさしだけから計算できます。

外から見た量として作ったはずなのに、内側の測定だけで決まる。

ここが驚異です。

まとめ

ガウスの驚異の定理は、ガウス曲率が曲面の内在的な量であることを言います。

紙を円柱に丸めてもガウス曲率は 0 のままです。球面は平面に完全には展開できません。

微分幾何学の強さは、外から眺めた形ではなく、その空間の中に住む人が測れる量から geometry を作れるところにあります。

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