検定を幾何で理解する 1: 仮説は地図の中の場所
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検定を幾何で理解する統計的検定は、最初はかなり不思議に見えます。
値、有意水準、帰無仮説、対立仮説。言葉が多く、しかもどれも少し抽象的です。
この連載では、検定を幾何で見ます。
幾何で見るとは、確率分布を地図の上の点として考えるということです。
データは、その地図のどこに行けば自然に説明できるかを教えてくれます。検定は、その場所が「仮説の場所」からどれくらい離れているかを見る作業です。
コイン投げを地図にする
コインを 回投げて、表が 回出たとします。
表が出る確率を とすると、 を 1 つ決めるだけでコイン投げの確率分布が決まります。
たとえば、
なら普通のコインです。
なら表が出やすいコインです。
つまり、 の値は「確率分布の地図上の場所」です。
帰無仮説は地図の中の場所
普通のコインかどうかを調べたいとします。
このとき帰無仮説は、
です。
幾何の言葉では、これは地図の中の 1 点です。
一方、対立仮説
は、 以外の場所も許すという意味です。
つまみを動かすと、データが指す位置が帰無仮説 H0 からどれくらい離れているかを見られます。
データは最も合う場所を選ぶ
20 回投げて 16 回表が出たとします。
このデータにいちばん合う は、だいたい
です。
これは最尤推定量です。名前は難しいですが、ここでは「データにいちばん合う場所」と読めば十分です。
帰無仮説の場所は です。データが選んだ場所は です。
検定は、このズレが偶然としてありえるかを調べます。
普通のコインを 20 回投げたときの揺れ
帰無仮説 p = 0.5 のもとで、表の回数がどれくらい揺れるかを見ると、p 値の直感が作れます。
珍しさは距離だけでは決まらない
ここで注意が必要です。
から までの差は 0.1 です。
から までの差も 0.1 です。
でも、確率分布としての変化は同じとは限りません。
確率の地図では、場所によってものさしが変わります。
このものさしが Fisher 情報量です。
Bernoulli 分布の Fisher 情報量
p が 0 や 1 に近い場所では、同じ p の移動でも分布の変化が大きく見えます。
今日のまとめ
検定を幾何で見ると、帰無仮説は地図の中の場所です。
データは、そのデータに合う場所を選びます。
検定は、データが選んだ場所と帰無仮説の場所のズレが、偶然の揺れとして自然かどうかを見る作業です。
次回は、この「ズレ」を距離として測る Wald 検定を見ます。
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