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微分幾何学 2: 接ベクトルと曲面のものさし

  1. 1 微分幾何学 1: 多様体は近くで見ると平らな場所
  2. 2 微分幾何学 2: 接ベクトルと曲面のものさし
  3. 3 微分幾何学 3: 曲率は曲がり方を数字にする
  4. 4 微分幾何学 4: ガウスの驚異の定理を高校生向けに読む

前回は、多様体を「近くで見ると平らな場所」として見ました。

今回は、その場所でどの方向へ進めるかを表す接ベクトルを見ます。

高校数学で曲線 y=f(x)y=f(x) を習うとき、ある点で接線を引きます。接線は、その点の近くで曲線をいちばんよく近似する直線です。

多様体でも同じことをします。

接ベクトルは、その場で進める方向

円周上の点を考えます。

その点から円周に沿って進む方向は、円に接する向きです。円の外側や内側へ飛び出す向きは、円周上の動きではありません。

つまり、接ベクトルは「多様体の上にいる人が、その瞬間に進める方向」です。

球面なら、接ベクトルは接平面の中にあります。地球の表面で立っている人にとって、東西南北へ進む向きは接平面の中にあります。地面から空へ飛び上がる向きは、球面上の移動ではありません。

球面上のまっすぐな道は大円になる

地球儀の表面から離れずに進むと、平面の直線ではなく大円が自然な直線の役をします。測地線の直感です。

曲面の上では、ものさしが場所ごとに変わる

平面なら、2 点の距離は三平方の定理で測れます。

Δs2=Δx2+Δy2\Delta s^2 = \Delta x^2 + \Delta y^2

でも曲面では、座標の差だけを見ても本当の長さはわかりません。

放物面を見てください。中心付近はゆるやかですが、外側へ行くほど傾きます。

曲面では、同じ座標差でも実際の長さが変わる

放物面は中心から離れるほど傾きます。座標の変化量だけでは、表面上の本当の長さを測れません。第一基本形式が必要になる理由です。

同じだけ座標を動かしても、曲面上を実際に歩く長さは場所によって変わります。

この「曲面上で長さや角度を測るためのものさし」を計量と呼びます。

第一基本形式

曲面のものさしは、第一基本形式と呼ばれる式で表されます。

2 つの座標を (u,v)(u, v) とすると、短い移動の長さはだいたい

ds2=Edu2+2Fdudv+Gdv2ds^2 = E\,du^2 + 2F\,du\,dv + G\,dv^2

の形で書けます。

ここで E,F,GE, F, G は、場所によって変わる数字です。

難しく見えますが、意味は単純です。

dududvdv は「座標を少しだけ動かす量」です。E,F,GE, F, G は「その場所では、その座標の動きが実際の長さにどう効くか」を表します。

なぜ計量が大事なのか

計量があると、次のことができます。

  1. 曲線の長さを測れる。
  2. 2 つの方向の角度を測れる。
  3. いちばん短い道を考えられる。
  4. 曲面がどれくらい曲がっているかを調べられる。

微分幾何学では、計量を入れた瞬間に「ただの座標の世界」から「長さと角度を持つ世界」へ変わります。

まとめ

接ベクトルは、多様体上でその瞬間に進める方向です。

計量は、多様体上で長さと角度を測るためのものさしです。

次回は、このものさしを使って「曲がり具合」を見る曲率へ進みます。

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